不思議な話は記憶にまつわる話もかなりあります。一つの奇妙な話を紹介します。港区の保険会社に勤めている男性の話。
仕事も終わり駅に向かって歩いていたとき、後ろから肩を叩かれます。振り向いた男性は少しだけ驚きます。顔見知りも顔見知り、高校時代の柔道部の仲間の2人YとN。彼らも偶然見つけて驚いているよう。
片方のYが、「ちょうどよかった、すぐにあれ持って来いよ」ともう一方のNに声を掛けます。男性は少し混乱しながら、一緒に駅前の居酒屋へ。
テーブルに着き、懐かしい話題も早々にYが言い出しました。男性の名前を呼び、2年ほど前やっと見つけたと。何だろうと思いながら待っていると、Nがやってきて3人で乾杯。
その後写真を見せられます。それは、高校時代の柔道部員たちの集合写真。
訳がわからずにいる男性に、Tが写ってるだろと言います。それは男性が探してくれと頼んだ写真だと。
そう言われTという部員の顔を、じっくり確認しましたがまったく知らない顔だったそう。男性は混乱し詳しく教えてくれと2人に迫ります。
Yがぽつんと言いました。男性は本当に記憶を無くしてるのかも知れないと。そして続けます。
この写真は卒業アルバムで3年生の柔道部員を紹介するもの。でも実際にアルバムに使用された写真は、Tが写っていない写真だと。
その言葉で男性は気が付きます。自分たち3年生柔道部員は全員で6人だったはず。しかし、この写真には男性が知らないTという部員を含め7人が写っています。
どうしても思い出せない男性に2人は会計を済ませ言いました。今日はTの命日じゃなかったのかと。
今でも男性は、何故憶えもないTの写った写真を探していたのかわかりません。
2人に何があったのでしょうか?